自分掘り

「逃げるのは負けじゃない防衛だ」に救われた。髪の毛が細くなったあの日

人生勝ち負けじゃないし、何が勝ちで何が負けなんだか人それぞれだか、やっぱりなんだか負けたくないとか、逃げたら終わりだとか、そういう闘争を好む人種というのが存在する。

もちろん私もその一人。その思いが強すぎて自分自身がおかしくなっているのに気がつかない時がある。

あるでしょ?今までにあなたもあったはず。

その時救われたのがこの言葉だった

逃げるのは負けじゃない自分を守るための防衛だ。

自分の意志で始めたことは止めちゃいけないと思っていた

高校を卒業して演劇学校に入った。楽しく2年間を過ごしたが、卒業後は役者を目指さず、演劇関係の仕事をしようと何を血迷ったのか、演劇学校の仲間と二人で仕事を始めた。

なんとなくイケる気がしちゃった楽天人間。アパートの一室を借りて電話もつなげて…。かれこれ25年前!!のことだ。

まだ携帯電話を全員が持っている時代でもなかったし、ネットなんて全然普及していない頃だ。なんとまぁ大胆な選択をしたもんだ。

仕事はないわけではなかった。だたマーケティングとか、相場とか、経費とか…そういう前知識もなければ参考にするような人もおらず、今にして思えばかなりニッチなところに、のほのんと参入してしまった感があった。

もちろんすぐに行き詰った。

私は姉と2人暮らしで、喫茶店とスナックでそれぞれ週一でバイトしていた。大した収入にはならない。家賃だけで精一杯だった。でも仕事の経費も持ち出していた。

相方は実家暮らしで、経費等はなぜか出してくれなかった。「だってないもん」みたいな感じだったかと思う。よく覚えてない。出せとも言わなかったのかも?

そうこうしているうちにすごい貧乏になった。食べるものにも困るほどに。お金がないので、6個入りのロールパンで3日暮らしたり、プリングルス1缶で2日過ごしたりしていた。

お腹がいっぱいになるような気がして、レストランのチラシを見て食べた気になったような気にさせたりした。←面白いな20歳の私。

ちょいちょいインシュリンショックにもなった。懐かしいなあの震え…

それでもその仕事は止めたくなかった。自分でやりたいと言って始めたんじゃないか。ここで辞めたらきっと後悔する。できるところまでやるべきだ。収益がでるまで。お客さんだって微々たるものだけどついてきている。応援しくれている人だって沢山いる。とがんばった。

ある時、髪の毛が伸びたのでタダで切ってくれるカットモデルに行った。そしたら美容師さんが本当に驚いた顔をして…

この髪の毛どうしたんですか?ちゃんと食べていますか?髪の毛がこんなに細くなるなんてちょっとおかしいですよ!

と言った。確かに髪の毛がほそーーーーくなっちゃってフワフワしていることは知っていた。でもそんなことがなんなのかも考えたこともなかった。

生きることに必死だったから。

実父がやってきた

あの頃、よく幻聴が聞こえた。何を言っているのかわからないが、声が頭の中に響く。遠くでささやいているような声。明らかに幻聴だとわかった。

あの頃はあまり気になっておらず「ああ、また聞こえるな」くらいに思っていた。

そんな折、長野に住んでいた父がなにか東京に用事があるとかでやってきた。

色々近況などを話した。別に泣いたりなんだりはしないでたぶん淡々と事実をしゃべっていたと思う。

すると父がこう言った。

「その仕事を辞めるつもりはないのか?」

と。

「辞める?辞めたくないよ。自分で始めたんだし、なにも達成していないし、相方を裏切るようなことしたくないし…そんなのは逃けだ!負けだ!」と気がつけば号泣していた。

号泣どころか錯乱に近かったと思う。

散々わけのわからないことを言い続けて落ち着いた頃に父は言った。

「逃げるのは負けじゃない。自分を守るための防衛だ。今すぐ辞めろ」

目が覚めた。そうだ、私は一体何と戦っていたんだろう…?髪の毛が細くなってしまうくらい自分を痛めつけて、幻聴が聞こえるようになるまで我慢して…。

裏切者!と罵られても

相方に「もう経済的にも心身的にも限界だから辞める」と言ったら、案の定「裏切者!」と罵られた。

でも、不思議と平気だった。

あっさり自分の荷物を引き上げて次の日から事務所という名のアパートのあの一室には行かなくなった。時折手伝いに来てもらっていた友人から近況を聞くことはあっても、それを聞いても未練はなかった。

あの時は自分を守ることが一番だったと今でも思っている。

※相方とはひょんなことで和解することになった。あの一件から10年後、巡り巡って連絡を取ることになり、彼女が私の留学先のメキシコに遊びに来ることになったのだ。そして彼女はこういった「こういう異次元のような場所で再会したから構えることなく和解できたんだろうね」と。

カウンセリングセッションで言われたこと

根本師匠のお弟子さん制度の宿題のカウンセリングセッションで、相談してみた。

「私は、強みもないし、個性もないし、黒歴史もないから人生に深みがない」と。

カウンセラーのSちゃんが「はっ!?」となっていた。しばらく私の話を聞いてくれていたが…

「ごめん、はるさん…はるさんは個性強いし、経験だって…ご飯食べられなくて髪の毛細くなっちゃったなんてそんな経験ある人いないんだけど…」と言われて、笑った。

そうか~これって経験なんだね。しかも珍しい部類の。そして誰かに話すと、もしかしたら励ますことができるくらいの私の歴史/経験なんだ~。

そりゃそうだね、ごはんが食べられなくなるまで辞めないってどんだけアホなんだか!!面白いな自分!あの頃、オリジン弁当で630円の麻婆ナス弁当をさっと買えるようになる日は来るのだろうか?と本気で思っていたなと思い出す。

頭がおかしくなる前に

人間お金がなくなると心がすさむ。経験者だから言えることだ。お金は大切。生きるためには。だけどお金のために生きているわけじゃない。

ご飯が食べれれなくても人間はそうそう死なない(笑)髪の毛は細くなっちゃうけどね。

重要なのは頭がおかしくなる前に辞めることだ。全速力で逃げることだ。おかしくなったら辞める辞めないの判断すらできなくなるから。逃げる体力さえなくなってしまうから。

今でも幻聴が聞こえ始めたら『辞める』サイン。

逃げることは負けじゃない。自分を守ることなんだから。そもそも人生勝ち負けじゃない。

そうでしょ?

追伸…

先ほど、幻聴らしきものが聞こえ始め…「なんか聞こえる! 誰かしゃべっているよね?」と言ったら夫も次男も何も言わない…。えっ幻聴?なんで!!今私なんかストレスあるの?? とビビってその場を離れた。

しばらくして次男がトコトコやってきて言った。

さっきのおもちゃのイーブイがしゃべってたよ~。

おお~イーブイさんよ~ビビらせないでくれる?電池抜いてやる!!

 

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